日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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孤立性静脈瘤と散在性静脈瘤の内視鏡的および臨床的検討
福田 保岡村 誠介岡久 稔也柴田 啓志伊東 進
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1997 年 3 巻 3 号 p. 251-256

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抄録
食道上中部に存在する孤立性静脈瘤 (SoV) および散在性静脈瘤 (ScV) の成因や臨床的意義について十分な検討はなされていない.今回われわれは, 上部消化管内視鏡検査を施行した6660例中, SoVおよびScVを認めた54例85病変について検討した.SoVは36例36病変, ScVは18例49病変, ドーム型は36例53病変, カマボコ型は19例32病変, 青色調は32例54病変, 白色調は25例31病変認めた.病変は25~34cmの後壁に最も多く, 内視鏡的併存病変では慢性胃炎が最も多く, 上部消化管内視鏡全例との比較では通常の食道静脈瘤が有意に少なかった.ドーム型はカマボコ型および上部内視鏡検査全例に比して有意に高齢者に多く認められた.基礎疾患では, 通常の食道静脈瘤を来す疾患は24.1%と少なかった.SoVやScVの原因としては, 通常の食道静脈瘤と同じ成因は少なく, ドーム型は加齢による粘膜下静脈の局所的な脆弱性が原因と考えられた.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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