日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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脾腎短絡路に嚢状拡張を認めバルーン下逆行性経静脈的塞栓術 (B-RTO) に困難を来した胃静脈瘤の一例
松本 正廣中尾 國明松本 裕子岩田 滉一郎太田 裕彦金井 弘一小嶋 馨
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1998 年 4 巻 1 号 p. 33-36

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抄録
症例は50歳, 男性.アルコール性肝硬変症にて経過観察中胃静脈瘤が急速に増大しF3となったため入院となった.静脈造影にて左腎静脈には嚢状の拡張所見があり, ガイドワイヤーも先へ進み得なかった.Percutaneous transhepatic portography (PTP) を施行したところ門脈より2本の側副血行路が分岐し, 前述の嚢状部に流入し, 脾腎短絡路は連珠状に拡張し3カ所の狭窄部が認められた.順行性には造影が容易であったが, 逆行性ではあたかも弁が存在するごとく, 造影剤の逆流が不能であり, カテーテルの先進は困難を極め, 狭窄部を3カ所までは超えたが門脈側の造影は不良で胃静脈瘤は造影されなかった.そのため第3狭窄部を超えたところでバルーンをwedgeし5% ethanolamineoleate (EO) を注入し留置した.24時間後の造影で血栓形成が認められたため終了とした.1カ月後胃静脈瘤は完全に消失した.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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