日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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99mTc-GSA肝シンチグラフィの脾臓描出による門脈圧亢進症評価の検討
関 知之春山 邦夫松林 宏行穀野 真一郎溝上 俊郎水村 泰夫真田 淳水口 泰宏荻原 正示二木 修司小野田 一敏真神 易新戸 禎哲斎藤 利彦
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1998 年 4 巻 1 号 p. 37-41

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抄録
99mTc-GSA肝シンチグラフィの脾臓描出により門脈圧亢進症を評価することを目的として, 同シンチグラフィの前額面集積画像の脾描出と, 食道胃静脈瘤の有無と程度, 超音波ドプラ法による門脈血行動態分析との関連を検討した.対象は42例, 背景肝の内訳は正常3, 慢性肝炎9, 肝硬変30例で, 脾描出は (-) 17, (±) 13, (+) 12例であった.食道胃静脈瘤の合併は脾描出 (-) : 35.3, (±) : 76.9, (+) =75%で, 脾描出 (±), (+) では合併頻度が有意に増加した.合併した食道静脈瘤のF因子ではF2以上が脾描出 (-) : 33.3, (±) : 62.5, (+) =62.5%で脾描出 (±), (+) ではF因子の悪化がみられた.門脈本幹血流分析では脾描出により血流速度には差を認めないが, 断面積, 血流量は脾描出 (+) で有意に増加した.うっ血係数も脾描出 (+) で高値となった.Child分類別の検討を行うと, 同程度の肝予備能であっても, 脾描出により, 同様の傾向がみられた.以上の結果より99mTc-GSA肝シンチグラフィの脾描出は門脈圧亢進症と密接に関連することが明らかとなった.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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