抄録
症例は81歳, 男性.脳・肺・心疾患の既往を有し, ワーファリン内服中のハイリスク症例であり.巨木型食道静脈瘤 (Lm, F3, Cb, RC (+), E (-), Lg (-)) に対する治療方針決定に苦慮した. ETP法は, 無水エタノールによる血管内皮細胞破壊, トロンビンによる血栓形成という作用機序から考えて非常に効果が高く, 安全であり, 種々の程度・状態の静脈瘤に対して有効な治療法であると考えられる.それ故, ETP法 (Ethanol-Thrombin-Polydocanol法) による内視鏡的硬化療法を計3回施行し, 静脈瘤の著明な縮小を認め, 経過良好であった.