日本門脈圧亢進症学会雑誌
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肝性脳症とインターベンション
加藤 章信小野寺 誠鈴木 一幸
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2006 年 12 巻 3 号 p. 248-252

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抄録
肝性脳症は劇症肝炎や肝硬変など重篤な肝障害あるいは門脈大循環短絡に起因する精神神経症状である.肝性昏睡とほぼ同義語として用いられ, 軽症のものから深昏睡まで幅がある.また精神神経症状が明らかでなく定量的精神神経機能検査で初めて指摘される潜在性肝性脳症がある.脳症の成因は種々の昏睡惹起因子により生じるという多因子説が受け入れられている.この中で, 潜在性肝性脳症は, QOLの低下や肝硬変の予後にも悪影響をおよぼすことなどから注目されている.その診断は定量的精神神経機能検査や, 電気生理学的検査を組み合わせて行われる.近年コンピュータを用いた簡便な診断法が開発され, 本法によりEISやB-RTOなどのIVR前後での推移を検討すると, 潜在性肝性脳症の改善する例が認められる.VRにより潜在性を含めた肝性脳症がどの程度改善するかといった報告は少なく, 今後さらなる検討が必要である.
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