日本門脈圧亢進症学会雑誌
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12 巻, 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 中野 雅行
    2006 年12 巻3 号 p. 217-219
    発行日: 2006年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    “群盲象を評す” という有名な諺がある.これには2つの意味が含まれている.1つは象という動物を目の見えない人たちが触って自分が触った “部分” を象の “全体” だと勘違いしてしまう, 一種の愚かしいことのたとえ話である.もう1つは, 象という巨大な物は一人では理解しきれないので, 多数の人が部分部分の情報を持ち寄って統合することで初めて全体が明らかになる, ということのたとえ話である.我々が科学で未知の問題に当たったとき心しておかなければならないことである, と同時に象の検討に馬だか牛だかわけのわからない情報が紛れ込むこともあるし, 更に象にはアフリカ象もあればインド象もあり詳細な検討ではこのことも注意が必要かもしれない.ということで “群盲象を評す” もよく考えると奥の深い寓話である
  • 坂本 友見子, 古田 一徳, 星野 弘樹, 片桐 寛之, 板橋 浩一, 渡邊 昌彦
    2006 年12 巻3 号 p. 220-227
    発行日: 2006年
    公開日: 2012/11/09
    ジャーナル フリー
    保存的治療に抵抗性を示す難治性腹水は患者にさまざまな苦痛を与えQOLを著しく低下させる.このため腹水を大循環にかえす腹腔-静脈シャント術が施行されるが, その有用性や合併症についての多くの報告がなされており, 毎回手術時期の決定に難渋した.今回当院で腹腔-静脈シャント術を施行した13例について検討した.対象は1993年4月から2005年6月までに腹腔-静脈シャント術を施行した13例, 男性9例, 女性4例, 平均年齢61.3歳 (36-80歳) である.12例に術後体重腹囲の減少が見られ, 10例が退院可能となった.しかし術後7日以内の死亡が3例にみられた.腹腔-静脈シャント術は患者のQOL改善にはすぐれた手技であるが, 全身状態が悪化してからシャントを行っても効果が発揮されないため, 全身状態が安定している時期にシャントに踏み切ったほうが, よりQOLの改善に期待が持てると考えられる.
  • 山崎 正晴, 瓦谷 英人, 松村 雅彦, 福井 博
    2006 年12 巻3 号 p. 228-233
    発行日: 2006年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    末期肝硬変症例において利尿剤に対して不応性もしくは不耐性を示す難治性腹水は患者のQOLを著しく損なう重篤な合併症であるがその発生機序は未だ明らかではない.今回我々は腹水の難治化に腹膜組織における血管透過性の変化や腹膜リンパ組織の腹水吸収機能が関与する可能性を推測し, 強力な血管透過性充進作用を有するVEGF-Aおよびリンパ管の構築に関与するVEGF-CおよびVEGF-Dの腹水中の濃度を測定し, 腹水の難治性との関連について検討した.その結果難治性腹水中のVEGF-Aは非難治例に比し有意に高値を示した.腹水VEGF-Cは腹水難治化の指標の一つである尿中ナトリウム排泄量と有意な川頁相関を示した.以上より肝硬変患者の腹水VEGF-AおよびVEGF-Cは腹水難治化に関連する局所因子であり, 腹水難治化を予測する新たな指標となる可能性が示唆された.
  • 竹内 雅春, 王 孔志, 森川 司朗, 中井 謙之, 朱 明義, 藤元 治朗
    2006 年12 巻3 号 p. 234-238
    発行日: 2006年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    食道胃静脈瘤治療において, 血行動態を把握することは治療戦略を立てる上で非常に重要である.これまで侵襲度の高い血管造影検査でしか血行動態を把握できなかったが, 最近では低侵襲検査である超音波内視鏡, MRA (magnetic resonance angiography), MD-CT (muiti-detector row computed tomography) で血行動態が把握できるようになった.3D-CT (three-dimensional CT) では門脈血行動態の概要把握, 特に胃静脈瘤においては有用であるとされているが, 食道静脈瘤における3D-CTは, 食道静脈瘤自体の造影の問題や心臓や肺などの胸部臓器の影響で困難とされている、今回, 2例の食道静脈瘤症例における血行動態をMIP (maximum intensjty projection) 処理したMPR (multiplanar reconstruction) 画像で解析後, volume rendering (VR) 法により3D-CTを作成した.強調画像として食道静脈瘤, 側副血行路を新たに作成し, VR画像に重ね合わせることにより, 食道静脈瘤の供血路および食道貫通枝も描出することが可能であった.食道静脈瘤における3D-CT画像は, 血行動態を理解する上で有用な検査法となるものと考えられる.
  • 佐藤 行永, 中村 武史, 上嶋 弾
    2006 年12 巻3 号 p. 239-242
    発行日: 2006年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    患者は61歳の男性で, NASH (non-alcoholic steatohepatitis) による肝硬変の診断で通院加療していたが, 3カ月間に2回肝性脳症を来し他院に入院した.本院受診後, 腹部造影CTで門脈右枝と本幹に血栓を認めた.他に脳症を繰り返す原因がなかったため, この血栓が脳症を繰り返す原因と考え血栓溶解療法・抗凝固療法を開始したところ血栓は消退傾向を示し, 患者は脳症を発症しなくなった.本例では門脈血栓による求肝性門脈血流減少が肝性脳症を繰り返す誘引と考えられた.
  • 高木 慎太郎, 相方 浩, 阿座上 隆広, 片村 嘉男, 河岡 友和, 宇賀 公宣, 山科 敬太郎, 平松 憲, 丁 守哲, 児玉 英章, ...
    2006 年12 巻3 号 p. 243-247
    発行日: 2006年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    71歳女性.門脈腫瘍栓合併塊状型肝細胞癌(肝癌)のため当科紹介.インターフェロン(IFN)併用肝動注化学療法を機軸とした集学的治療により画像上根治したと考えられた.しかし,門脈腫瘍栓は器質化し本幹は閉塞したまま2次性肝外門脈閉塞症(Extrahepatic portal obstruction: EHO)を来し,腎静脈系シャントによるシャント脳症を反復していた.そのためバルーン閉塞下逆行性経静脈的シャント塞栓術(Balloon-occluded retrograde transvenous obliteration:B-RTO)を施行したところ,脳症は改善し現在まで脳症肝癌とも再発を認めていない.門脈腫瘍栓を伴う肝癌患者には,シャント脳症が合併することもあるが,治療経過が良く肝予備能良好例では,B-RTOは有効な治療手段になり得ると考えられた.
  • 加藤 章信, 小野寺 誠, 鈴木 一幸
    2006 年12 巻3 号 p. 248-252
    発行日: 2006年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    肝性脳症は劇症肝炎や肝硬変など重篤な肝障害あるいは門脈大循環短絡に起因する精神神経症状である.肝性昏睡とほぼ同義語として用いられ, 軽症のものから深昏睡まで幅がある.また精神神経症状が明らかでなく定量的精神神経機能検査で初めて指摘される潜在性肝性脳症がある.脳症の成因は種々の昏睡惹起因子により生じるという多因子説が受け入れられている.この中で, 潜在性肝性脳症は, QOLの低下や肝硬変の予後にも悪影響をおよぼすことなどから注目されている.その診断は定量的精神神経機能検査や, 電気生理学的検査を組み合わせて行われる.近年コンピュータを用いた簡便な診断法が開発され, 本法によりEISやB-RTOなどのIVR前後での推移を検討すると, 潜在性肝性脳症の改善する例が認められる.VRにより潜在性を含めた肝性脳症がどの程度改善するかといった報告は少なく, 今後さらなる検討が必要である.
  • 日高 央, 國分 茂博
    2006 年12 巻3 号 p. 253-255
    発行日: 2006年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    アンジオテンシンII typel receptor拮抗剤 (ARB) の門脈降圧効果は, 議論の分かれるところである.しかしβブロッカーが門脈降圧薬のfirst lineとの根拠が薄らいでいる中, 新しいARBのolmesartan medoxomilが注目されている.この薬剤にてHVPG (門脈肝静脈圧較差) が, 投与前21, 0±3.4mmHgから2週後に17.0±5.3mmHgと有意 (ρ=0.03) に低下し, 6症例 (42.9%) で20%以上の降圧を認めた.今後は長期の門脈降圧効果や出血予防効果を明らかにする必要がある.
  • 村島 直哉, 山名 大吾, 弓場 孝治
    2006 年12 巻3 号 p. 256-257
    発行日: 2006年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 西崎 泰弘
    2006 年12 巻3 号 p. 258-263
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 2006 年12 巻3 号 p. 264-271
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
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