食道胃静脈瘤治療において, 血行動態を把握することは治療戦略を立てる上で非常に重要である.これまで侵襲度の高い血管造影検査でしか血行動態を把握できなかったが, 最近では低侵襲検査である超音波内視鏡, MRA (magnetic resonance angiography), MD-CT (muiti-detector row computed tomography) で血行動態が把握できるようになった.3D-CT (three-dimensional CT) では門脈血行動態の概要把握, 特に胃静脈瘤においては有用であるとされているが, 食道静脈瘤における3D-CTは, 食道静脈瘤自体の造影の問題や心臓や肺などの胸部臓器の影響で困難とされている、今回, 2例の食道静脈瘤症例における血行動態をMIP (maximum intensjty projection) 処理したMPR (multiplanar reconstruction) 画像で解析後, volume rendering (VR) 法により3D-CTを作成した.強調画像として食道静脈瘤, 側副血行路を新たに作成し, VR画像に重ね合わせることにより, 食道静脈瘤の供血路および食道貫通枝も描出することが可能であった.食道静脈瘤における3D-CT画像は, 血行動態を理解する上で有用な検査法となるものと考えられる.
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