日本門脈圧亢進症学会雑誌
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部分的脾塞栓術の短期・長期成績について
-脾梗塞体積に注目して-
林 洋光別府 透堀野 敬小森 宏之増田 稔郎岡部 弘尚馬場 秀夫
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2007 年 13 巻 4 号 p. 235-239

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抄録

部分的脾塞栓術 (partial splenic embolization : PSE) は, 門脈圧の低下や血小板減少症の改善を主な目的として行われることが多い.しかし, その治療効果を規定する因子や合併症の発生率および危険因子については不明な点が多い.肝硬変による脾機能亢進症に対してPSEを行った89症例における検討で, 汎血球減少症 (特に白血球数, 血小板数) に対する良好な長期効果が認められた.またPSE後の重症合併症率は14.6%で, 死亡率は4.5%であった.これらは, 特にChildC症例で特に高かった.われわれはPSE後の血小板増加数および重症合併症を規定する因子として, 従来の脾梗塞率ではなく脾梗塞体積が重要であることを報告した.その検討からは, 治療効果と安全性を考慮した1回のPSEによる至適脾梗塞体積は388~540mlが望ましいと考えられた.

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