日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原発性胆汁性肝硬変における門脈圧亢進症の意義
村田 洋介阿部 雅則畔元 信明檜垣 直幸村上 英広日浅 陽一松井 秀隆道堯 浩二郎恩地 森一
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2007 年 13 巻 4 号 p. 228-234

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抄録

PBC (primary biliary cirrhosis) は他の慢性肝疾患と同様に黄疸や食道・胃静脈瘤, 浮腫腹水などの門脈圧亢進症状が肝硬変の末期に出現する.しかし, PBCの中には門脈圧亢進症状が皮膚〓痒感や黄疸などの症候に先行して出現する症例がある.門脈圧亢進症状が皮膚〓痒感や黄疸などの他の症候に先行して出現したPBCの症例の臨床的な検討はほとんどなく, その予後, 他の症候との位置づけなど不明な点が多い.筆者らは症候性PBCのうち食道・胃静脈瘤が皮膚〓痒感や黄疸に先行したPBC症例について検討を行い, HCC (hepatocellular carcinoma) の合併が多いことを明らかにした.皮膚〓痒感や黄疸が先行する通常の症候性PBCと食道・胃静脈瘤が先行するPBCは病態が異なる可能性が考えられ, 筆者らは食道・胃静脈瘤など門脈圧亢進症状が皮膚〓痒感や黄疸に先行する症候性PBC「門脈圧亢進性PBC」の概念を提唱した.

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