日本門脈圧亢進症学会雑誌
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肝静脈より門脈を介した緊急胃食道静脈瘤塞栓術の検討
高田 弘一本間 久登女澤 慎一土居 忠茎津 武大宮西 浩嗣野尻 秀一勝木 伸一高橋 祥佐藤 勉萩原 誠也新津 洋司郎
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2000 年 6 巻 4 号 p. 249-252

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抄録
近年, 門脈圧亢進症に対する治療法として確立された経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術 (trans-jugular intrahepatic portosystemic shunt;TIPS) は, 経頸静脈的に肝内で肝静脈と門脈の間に短絡路を造設する減圧術である.今回, われわれは食道静脈瘤あるいは胃静脈瘤破裂症例に対して, 既存の方法では合併症が多いと予想される症例に対し, TIPS手技による門脈到達経路である肝静脈から門脈を介した緊急静脈瘤塞栓術 (varicoembolization via intrahepatic portal vein root ; VEIP) を新たに考案・施行し, その手技および利点につき検討を加えた.この結果, 本法はこれまでの門脈を介した胃食道静脈瘤のinterventional therapyでは適応が難しい腹水, 出血傾向のある症例および内視鏡的に止血困難な緊急出血例等に対して有効であり, 胃食道静脈瘤治療の新たな到達経路になりうることが示唆された.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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