日本門脈圧亢進症学会雑誌
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難治性腹水の臨床像とTIPS施行による病態の変化
楢原 義之金沢 秀典片倉 玲樹厚川 正則滝 保彦木村 祐間宮 康貴長田 祐二中塚 雄久小泉 信人名知 志子坂本 長逸
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2003 年 9 巻 2 号 p. 104-107

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抄録

肝硬変腹水患者52例を当科で定めた難治性腹水の診断基準に基づき, 治療反応性腹水26例, 難治性腹水26例に分け比較し難治性腹水の臨床的特徴を検討した.また, 難治性腹水のTIPS後の病態変化についても検討した.難治性腹水の特徴としては, 腎機能悪化とレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系, 交感神経系の亢進がみられ, 肝機能重症度の関与は少ないものと考えられた.また, 難治性腹水の発生に門脈圧高値が関与することが示唆された.TIPS後には, 類洞圧低下から肝リンパ漏出は抑制され, また, 門脈圧低下からarterial vasodilatationは改善し, 有効循環血液量の増加による神経体液因子亢進の改善, 腎血流量の増加がもたらされ, 尿量および尿中Na排泄量の増加を生じると考えられた.

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