日本門脈圧亢進症学会雑誌
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肝癌合併の有無と予防的食道静脈瘤硬化療法の適応
三好 博文
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2003 年 9 巻 2 号 p. 101-103

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抄録

肝癌合併の有無を中心に予防的硬化療法の有用性を考察した. (1) 肝癌合併患者 : 門脈本管や一次分枝に癌浸潤のない患者ではRCサインがなくとも予防的硬化療法にて生存率の改善がみられた.これを解釈する理由として次の2点が示された.1つは肝癌患者ではRCサインがなくともよく静脈瘤出血し, その出血が死亡に結びつくこと.2つ目は出血後EISが成功し死亡しなかったとしても, 出血というエピソードはPEIT (経皮的エタノール注入療法) やTAE (動脈塞栓療法) といった継続的な肝癌治療の妨げになることである. (2) 肝癌非合併患者 : わが国における前向き比較試験の結果を考慮すると, 欧米の報告と同じくこの患者に対する予防的硬化療法の適応は否定的である.

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