2003 年 9 巻 2 号 p. 73-77
アルゴンプラズマ凝固法 (APC) を食道静脈瘤の地固め療法に用い, 治療後の経時的な変化からその効果を検討した.病理学的には食道下部の非静脈瘤性出血例の剖検標本で検討した.経過の検討は静脈瘤の地固め療法にAPCを実施した21例を対象に行った.病理学的には炎症は粘膜のみならず, 粘膜下層から一部固有筋層に及び, 肉芽を形成していた.地固め療法後の累積再発率は2年で13.8%であった.治療後の経過は, 食道壁は粘膜下層を中心に肥厚し, 1年以上にわたり持続した.またAPCは食道壁外の血管には変化を与えなかった.APCは粘膜から粘膜下層に線維化を起こし, 効果も持続し, きわめて有用であった.しかし, 流入血流路に変化はみられなかった.以上より地固め療法としてのAPCは有用であると考えられた.