肝硬変による血小板減少は併存疾患に対する治療の制限因子となり患者のQOLや長期生存に与える影響は無視できない.併存疾患を有する脾機能亢進症患者5例に対し腹腔鏡補助下脾臓摘出術を行い, 安全性と有効性を検討した.対象は併存疾患 (肝癌2, ウイルス性肝炎1, 頚椎症1) を有する脾機能亢進症患者5例.手術当日に血管造影下にゼラチンを用いて脾動脈塞栓を行い, 直ちに血小板10単位を輸血しながら手術室へ搬送し, 腹腔鏡補助下脾臓摘出術を行った.手術時間は140.5±73.1分, 出血量は205±197g, 脾重量は330±141gであった.全例で合併症は認められず, 血小板数は改善し, 併存疾患に対する治療も可能となった.脾機能亢進症合併肝硬変患者に対しては併存疾患に対する治療が必要な場合は積極的に腹腔鏡補助下脾臓摘出術を行うことは有効であると考えられた.