日本小児血液・がん学会雑誌
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教育セッション9: 血小板系疾患
ITPと鑑別が必要な小型・正常大の血小板を有する遺伝性血小板減少症
笹原 洋二
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2015 年 52 巻 3 号 p. 311-316

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抄録
小児期の血小板減少症には,血小板に対する自己抗体産生を原因とする免疫性血小板減少性紫斑病(以下ITP)が多いが,鑑別すべき疾患として遺伝子変異を原因とする遺伝性血小板減少症がある.ITPの診断は基本的には除外診断であり,慢性かつ治療不応性ITP症例の中に遺伝性血小板減少症症例が含まれている可能性がある.日本小児血液・がん学会血小板委員会では,遺伝性血小板減少症の診断アルゴリズムをまとめ,学会ホームページに公開している.
遺伝性血小板減少症は血小板サイズにより分類し,小型・正常大血小板と大型・巨大血小板を有する疾患群に分けると理解しやすい.本稿では特にITPとの鑑別に重要な小型・正常大血小板を有する遺伝性血小板減少症に焦点を当て,本症を疑う時の要点と診断のフローチャートをまとめた.また, WASPWIPMPLHOXA11RBM8ARUNX1ANKRD26CYCS遺伝子を責任遺伝子とする各疾患について,遺伝子変異と分子病態に関する最近の知見をまとめた.大型・巨大血小板を伴う遺伝性血小板減少症については,國島による優れた総説を是非参照されたい.
遺伝性血小板減少症の鑑別診断は,不要なITPの治療を避けられること,また血液悪性疾患合併の可能性のある本疾患群を注意深く経過観察できることから,その確定診断法の確立は適切な治療方針決定のために重要である.
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© 2015 日本小児血液・がん学会
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