抄録
若年性骨髄単球性白血病(JMML)は乳幼児に好発する多能性造血幹細胞のクローン性異常で,約90%の症例でRAS/MAPK経路に関与する遺伝子の変異が検出される.これら変異の存在に加え,脾腫,白血球増加および単球増加などの所見に基づき診断するが,変異陰性例では時に診断に苦慮する.乳児期に生じたサイトメガロウイルス感染症では肝脾腫や単球増加などJMML様の臨床像を呈することがあるが自然軽快する.一方,ウイルス感染を偶然に併発しているJMMLを無治療で経過観察すると病勢進行を来しうる.Wiskott-Aldrich症候群(WAS)も血小板減少に加えて単球増加を認めることがある.この場合,WASに特徴的な小型血小板ではなく巨大血小板を認めることが多い.他に乳児悪性型大理石病や白血球接着不全症なども時にJMMLとの鑑別が必要となる.最近,RAS体細胞変異によって自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)ともJMMLとも鑑別困難な病態を来すことが報告され,RALD(RAS-associated ALPS-like disease)と称される.以前からJMMLの一部で高IgG血症や自己抗体の出現をみることが知られていたが,病勢の緩徐なRAS変異陽性JMMLの一部はRALDの可能性がある一方,致死的経過を辿ることもあり,予後や適切な管理法について今後の症例の蓄積が必要である.