日本小児血液・がん学会雑誌
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教育セッション12: 血液・腫瘍疾患における皮膚病変
EBウイルス関連皮膚T/NKリンパ球増殖症
―種痘様水疱症と蚊刺過敏症―
岩月 啓氏
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2015 年 52 巻 3 号 p. 317-325

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抄録

EBウイルス関連T/NKリンパ球増殖症(LPD)は,慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV),古典的および全身性種痘様水疱症(cHVとsHV)と蚊刺過敏症(HMB)を含む一群の疾患である.cHVは,露光部のヘルペス型水疱丘疹を特徴とする小児の光線過敏症で,血中にEBウイルス感染γδT細胞が増数している.HMBは,虫刺されやワクチン注射に続いて,激しい皮膚反応と発熱や肝障害などの全身症状を特徴とする.HMB患者は通常,EBウイルス感染NKリンパ球増殖症を示す.cHV群は,良好な経過をとるが,他の2群,すなわちsHVとHMBの予後は不良で,50%死亡はそれぞれ発症後10年,5年である.単因子解析結果では,予後不良因子として,発症が9歳以上であること,超早期再活性化マーカーBZLF1 mRNAの発現が皮膚で検出されること,の二つが見出された.CAEBVの診断基準案におけるHV,HMBの位置づけについて言及した.

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© 2015 日本小児血液・がん学会
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