日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
全身性エリテマトーデス治療中に多発性脳静脈血栓を発症した女児例
今吉 美代子飯盛 智子尾形 善康山本 修一市丸 智浩濱崎 雄平
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2015 年 52 巻 5 号 p. 421-425

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抄録
症例は9歳女児.発熱,顔面紅斑,および四肢の紅斑のために当科に入院.身体所見と検査所見から全身性エリテマトーデス(SLE)と診断し,プレドニゾロン(PSL)の経口投与を開始した.入院1カ月後に左後頭部の激しい頭痛が出現.MRIで上矢状静脈洞とS状静脈洞の血栓が確認された.凝固因子および抗凝固因子に異常なく,ループスアンチコアグラントは希釈RVVT法の検査では陰性,血栓症に関連のある自己抗体についてはフォスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体(aPS/PT)のみが陽性であった.本例をSLEに合併した抗リン脂質抗体症候群(APS)に伴う静脈血栓症と診断したが,経過より血栓形成にPSLも一部関与した可能性が考えられた.APSにおける新たな診断法としてのaPS/PTの重要性を含め検討した.
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© 2015 日本小児血液・がん学会
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