日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
症例報告
新生児期から持続する血小板減少症から診断されたBernard-Soulier症候群の1例
片岡 伸介宮島 雄二國島 伸治
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 52 巻 5 号 p. 426-429

詳細
抄録
患児は日齢1の男児.初期嘔吐のため当院新生児センターへ搬送され,初診時の検査で血小板数が3.0×104/μLと低下していた.入院当初は同種免疫性血小板減少症を疑ったが,対応する血小板抗体は検出されなかった.17ヵ月時にも血小板減少症が遷延し,血液塗抹標本で巨大血小板を認めた.先天性巨大血小板性血小板減少症の系統的鑑別診断を施行し,血小板膜糖蛋白(GP)I b/IX低下を認め,遺伝子検査によりGP IX遺伝子変異を検出したためBernard-Soulier症候群(BSS)と診断した.GP IX遺伝子変異は,BSSを来たす既知のp.Cys89Tyr変異と一塩基欠失により未熟終末となる新規p.Gly40fsX43変異の複合へテロ接合体であった.幼児期に診断出来たことで,今後適正な生活指導や出血管理が望める.合併症のない新生児血小板減少症の原因としては,同種免疫性血小板減少症の頻度が比較的多いが,BSSに代表される先天性巨大血小板減少症も稀ながら存在する.血小板減少症の診断には血液塗抹標本で血小板形態を観察することが重要である.
著者関連情報
© 2015 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top