2015 年 52 巻 5 号 p. 435-439
大量腹水による腹部膨満を主訴とし,急性巨核芽球性白血病(AMKL)の診断に至った生後2か月の女児について報告する.エトポシド・シタラビン少量持続療法を先行した後,JACLS AML99共通プロトコールの寛解導入療法(エトポシド,シタラビン,ミトキサントロン)を施行した.コントロール困難な大量の腹水による呼吸障害のため,3か月間の人工呼吸管理を含む集中治療を必要とした.大量腹水は,OTT-MAL(RBM15-MKL1)キメラ遺伝子陽性AMKLの特徴の一つである肝線維化による門脈圧亢進症が原因と考えられた.寛解導入療法後の造血回復に伴い腹水量は減少傾向となったが,高度な門脈圧亢進症のため以後の治療を断念した.しかし治療開始後2年9か月が経過した現在も寛解を維持しており,全身状態は良好である.