日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
治療中のMRI大腿骨骨髄異常所見から再発と鑑別を要した急性リンパ性白血病の1例
松野 良介外山 大輔塚田 大樹秋山 康介池田 祐一林 高樹磯山 恵一
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2015 年 52 巻 5 号 p. 444-448

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抄録
これまでに急性白血病の診断にMRIが有用であることが報告されてきた.骨痛や関節痛を主訴に受診した急性白血病では骨・骨髄に異常所見を呈することが多い.症例は7歳,女児.下肢痛を主訴に来院しB前駆細胞型急性リンパ性白血病と診断された.治療開始前のMRIで左大腿骨に白血病浸潤を示す異常信号を認め,寛解導入療法終了後,骨髄の完全寛解とMRI異常信号の改善を確認した.しかし治療途中で左大腿骨骨髄に新たな異常信号が出現し,再発と鑑別を要した.MRIの異常所見以外に再発を疑う所見がないこととFDG-PET/CTを施行し異常集積を認めなかったことから,化学療法後の骨髄再転換であると推察し,治療を継続とした.MRIの異常信号は徐々に改善し,全治療を終了することができた.骨髄のMRI異常信号は必ずしも再発を意味するものではなく,経時的な観察が重要であることが示唆された.
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© 2015 日本小児血液・がん学会
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