抄録
これまでに急性白血病の診断にMRIが有用であることが報告されてきた.骨痛や関節痛を主訴に受診した急性白血病では骨・骨髄に異常所見を呈することが多い.症例は7歳,女児.下肢痛を主訴に来院しB前駆細胞型急性リンパ性白血病と診断された.治療開始前のMRIで左大腿骨に白血病浸潤を示す異常信号を認め,寛解導入療法終了後,骨髄の完全寛解とMRI異常信号の改善を確認した.しかし治療途中で左大腿骨骨髄に新たな異常信号が出現し,再発と鑑別を要した.MRIの異常所見以外に再発を疑う所見がないこととFDG-PET/CTを施行し異常集積を認めなかったことから,化学療法後の骨髄再転換であると推察し,治療を継続とした.MRIの異常信号は徐々に改善し,全治療を終了することができた.骨髄のMRI異常信号は必ずしも再発を意味するものではなく,経時的な観察が重要であることが示唆された.