日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
当院における高リスク神経芽腫の後方視的検討:骨髄非破壊的前処置による臍帯血移植の試み
山崎 夏維中野 嘉子田中 千賀岡田 恵子藤崎 弘之大杉 夕子原 純一
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2016 年 53 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

(背景)高リスク神経芽腫の治療成績は未だ不良である.当院では骨髄非破壊的前処置による同種臍帯血移植(CBT)による治療強化を試みたためその治療成績を報告する.
(対象と方法)2005~2012年に当院で治療を行った神経芽腫15例を後方視的に検討した.
(結果)発症年齢の中央値は2.9歳で男児7例,女児8例だった.化学療法および大量化学療法を行った後に手術および放射線治療による遅延局所治療を行った.大量化学療法開始前の治療反応はVery good partial response(VGPR)2例,Partial response(PR)11例,Mixed response(MR)2例であり,大量化学療法後にVGPRの1例がComplete response(CR) となり,PRの2例がVGPRとなった.5例が無病生存,8例が再発,2例が合併症死した.再発例のうち7例は初発時に見られた骨病変を含む再発であり,5yr-Event free survivalおよび5yr-Overall survivalは各々33.3±12.2%,26.7±12.6%だった.
CBTは6例に対して局所治療終了後に行われた.前処置はBusulfan/FludarabineもしくはMelphalan/Fludarabineを用いた.GVHDはGrade I/IIが3例で,Grade III以上は認めず,治療関連死亡はなかったが2例で生着不全が見られた.5例が再発し無病生存は1例のみであった.再発までの期間の中央値はCBT群で17.8か月,非CBT群で22.7か月と有意差を認めなかった(p=0.23).
(結論)高リスク神経芽腫に対するRIC-CBTは安全に施行できたが,治療成績の向上は得られなかった.

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© 2016 日本小児血液・がん学会
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