日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
小児最重症再生不良性貧血に対する非血縁者間臍帯血移植
木村 俊介長谷川 大輔松井 俊大代田 惇朗石田 悠志吉本 優里平林 真介細谷 要介吉原 宏樹熊本 忠史森 愼一郎真部 淳
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2016 年 53 巻 1 号 p. 21-25

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抄録
最重症再生不良性貧血の治療として,重症感染症などにより早期の移植が必要にも関わらずHLA適合ドナーが得られない場合,非血縁者間臍帯血移植やHLA不適合血縁者間移植が選択肢となる.しかし,このような代替ドナーからの移植では,移植片対宿主病や生着不全の危険が高いことが問題である.我々は,感染を反復する最重症再生不良性貧血の2歳男児に対して,HLA 5/6抗原一致非血縁者間臍帯血移植を行った.総有核細胞数とCD34陽性細胞数の豊富な臍帯血を用いるとともに,前処置に低線量放射線照射を併用した.また,移植前に鉄キレート療法を行った.移植後day 20に生着が得られ,重篤な急性移植片対宿主病は認めなかった.前処置に用いた抗胸腺グロブリンの影響も疑われるサイトメガロウイルス抗原血症が5か月遷延したが,非血縁者間臍帯血移植は最重症再生不良性貧血の治療選択肢のひとつとなりうると考えられた.
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© 2016 日本小児血液・がん学会
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