キャンディン系抗真菌薬ミカファンギン(MCFG)は,好中球減少期発熱(FN)に用いる場合の小児の薬物動態(PK)に関して,詳細な検討は行われていない.そこで小児白血病研究会(JACLS)支持療法委員会にて,MCFGのPKパラメータを算出し,安全性の評価を行った.FN患者7例(3–9歳)を対象に,MCFGを3.8–10 mg/kgを1日1回1時間点滴し,初回投与時の点滴終了直前(ピーク),点滴開始1.5, 4, 6, 24時間後,および定常状態(4–7日目) のトラフとピークのMCFG血中濃度を測定した.初回投与時における全身クリアランス(CL)は0.351 mL/min/kg,定常状態時分布容積は0.354 L/kg,消失半減期は13.4 hであった.これらのPKパラメータは,健康成人での報告値とほぼ同じであったが,小児のCLは成人よりもやや高かった.また,MCFG投与前後で肝機能および腎機能に関する検査データ変動はなく,MCFGに関連する有害事象は認めなかった.MCFGは,小児FN患者に対して安全に投与できる薬剤であると思われた.