日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
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原著
小児の好中球減少期発熱患者におけるミカファンギンの薬物動態と安全性:小児白血病研究会(JACLS)からの報告
岡田 恵子森口 直彦畠山 直樹今井 剛大曽根 眞也篠田 邦大伊藤 剛田内 久道三木 瑞香原 純一西村 真一郎
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2016 年 53 巻 2 号 p. 117-122

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抄録

キャンディン系抗真菌薬ミカファンギン(MCFG)は,好中球減少期発熱(FN)に用いる場合の小児の薬物動態(PK)に関して,詳細な検討は行われていない.そこで小児白血病研究会(JACLS)支持療法委員会にて,MCFGのPKパラメータを算出し,安全性の評価を行った.FN患者7例(3–9歳)を対象に,MCFGを3.8–10 mg/kgを1日1回1時間点滴し,初回投与時の点滴終了直前(ピーク),点滴開始1.5, 4, 6, 24時間後,および定常状態(4–7日目) のトラフとピークのMCFG血中濃度を測定した.初回投与時における全身クリアランス(CL)は0.351 mL/min/kg,定常状態時分布容積は0.354 L/kg,消失半減期は13.4 hであった.これらのPKパラメータは,健康成人での報告値とほぼ同じであったが,小児のCLは成人よりもやや高かった.また,MCFG投与前後で肝機能および腎機能に関する検査データ変動はなく,MCFGに関連する有害事象は認めなかった.MCFGは,小児FN患者に対して安全に投与できる薬剤であると思われた.

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© 2016 日本小児血液・がん学会
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