日本小児血液・がん学会雑誌
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多職種医療者合同シンポジウム: 小児がんの子どもと家族の治療・検査・処置における意思決定プロセスを支える多職種連携
小児がん患児・家族とともに
~多職種連携におけるソーシャルワーカーの役割~
横川 めぐみ恩田 聡美石橋 裕子野々村 かおり片山 麻子樋口 明子
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2016 年 53 巻 3 号 p. 245-249

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抄録

子どもが小児がんになった時,親は様々な思いを抱える.診断当初は混乱も多く,また患児が幼い場合は,親が代わって様々な意思決定を行うようになり,決定に対する迷いが生じることも多い.そのため,多職種が患児・家族をサポートしていくことは重要である.多職種の一員として,ソーシャルワーカーは,患児・家族の話をきくことで,気持ちをうけとめ,状況を整理し,院内外のスタッフや社会資源と連携することで患児・家族を支援する.また,患児・家族に関わる時「生活」という視点を持ち,将来を見据えた支援も行っている.

小児がん患児の7割から8割が治療を終えることができるようになってきた現在は,患児の自立に関する相談も多い.成長に伴い,患児自身が病気を知り,治療選択や健康管理に関わっていくことも重要になる.しかしながら,親や周囲とのコミュニケーションが難しくなるAYA(Adolescent and Young Adult)期の患児については,患児が話しやすい職種が関わることも重要になる.その選択肢の一つにソーシャルワーカーが挙げられるだろう.

患児が意思決定に関わるようになる時,患児を支える親の気持ちを受け止め,フォローすることも大切であり,同時に,患児や親に影響を与える存在として,きょうだいという家族の存在もある.ソーシャルワーカーは院内からは見えにくい家族にもアプローチし,他職種と連携していくこともある.

院内で働く多職種の一員としてソーシャルワーカーが活用されることを願っている.

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