日本小児血液・がん学会雑誌
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教育セッション5: 腎腫瘍・肝腫瘍
小児肝腫瘍・腎腫瘍に対するアプローチと治療戦略
大植 孝治佐々木 隆士田中 夏美銭谷 昌弘
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2016 年 53 巻 3 号 p. 250-255

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抄録

小児悪性腫瘍の治療成績は,集学的治療の発展とともに急速に向上したが,発生頻度が低いため,新規治療法の開発のためには多施設による共同研究が不可欠である.本邦では2014年に小児腫瘍の研究グループが統合され,日本小児腫瘍研究グループ(Japan Children’s Cancer Group; JCCG)が結成され,小児悪性腫瘍の臨床試験を統一して行われるようになった.

小児悪性固形腫瘍の中でも,肝芽腫,腎芽腫は手術による全摘出が根治のために重要であり,小児外科医が中心となって他の固形腫瘍に先駆けて1990年代より全国で多施設臨床研究が開始された.本稿では,過去の臨床試験の結果から小児肝腫瘍・腎腫瘍の治療上の問題点を明らかにし,それを克服するべく,どのようなコンセプトで次世代の新たな治療プロトコールが開発されつつあるのかを解説する.いずれの腫瘍においても,新しい治療プロトコールでは患者を低リスク,中間リスク,高リスクとリスク群に応じて群分けを行い,低リスクの症例では治療を軽減して治療合併症の軽減を図り,高リスクのものでは治療を強化して治療成績の向上を目指すことにより,治療成績の向上と,患者のQOLの向上を目指して新しい治療法が開発されている.

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© 2016 日本小児血液・がん学会
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