日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
隆起性皮膚線維肉腫の1例
大野 通暢渕本 康史竹添 豊志子渡邉 稔彦田原 利典岩淵 英人義岡 孝子松岡 健太郎金森 豊
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2016 年 53 巻 3 号 p. 294-299

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抄録

隆起性皮膚線維肉腫(Dermatofibrosarcoma protuberans;以下DFSP)は小児ではまれな疾患であり,中間悪性群に分類される.遠隔転移は少ないとされているが,緩徐に進行し,しばしば局所再発することが知られている.我々は,5歳時に病変に気づかれ,12歳で診断に至った左前胸部DFSPの症例を経験した.患者は血管腫もしくはリンパ管腫疑いと診断され経過観察されていた.初診より7年目に,腫瘍は急速に増大し,隆起性部位と陥凹部位を認めた.超音波,MRI検査を行った結果,悪性腫瘍が否定できず,腫瘍切除を施行した.病理診断では紡錘形細胞を伴う良性腫瘍が疑われたが,永久標本ではDFSPと診断されたため,残存腫瘍の追加広範切除術を行った.陥凹病変を合併しているDFSPはまれであるとされている.腫瘤の大きさの変化ならびに外観の変化に気づいてからの対応が早かったことが適切な治療へと結びついたと考えている.完全切除後2年経過しているが,再発,転移は認められていない.

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© 2016 日本小児血液・がん学会
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