日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
急性骨髄性白血病(AML M0)に先行した骨髄肉腫の1例
齊藤 悠西田 直徳野村 恵子足立 雄一金兼 弘和
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2016 年 53 巻 3 号 p. 300-304

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抄録

骨髄肉腫は急性骨髄性白血病(AML)の髄外病変として,骨髄病変と同時または先行,あるいは再発時に認める稀な疾患である.われわれはAML M0の先行病変として腹腔リンパ節に骨髄肉腫を発症した5歳男児例を経験した.頻回嘔吐,腹痛,発熱のため近医を受診し腹部CT検査で腹腔リンパ節腫大ならびにイレウス所見を認めた.当院紹介となり,補液ならびに抗菌薬投与で腹部症状が改善し炎症反応の陰性化を認めたため,腸間膜リンパ節炎と診断し退院となった.しかし,腹部リンパ節腫大が持続するとともに可溶性IL-2R値が経時的に上昇し,退院2か月後に末梢血に芽球が出現してきたため骨髄穿刺ならびに腸間膜リンパ節生検を施行した.いずれもミエロペルオキシダーゼ染色陰性かつ免疫染色で骨髄球系抗原陽性であったため,急性骨髄性白血病(AML M0)による骨髄肉腫と診断した.AML(M0)に先行する骨髄肉腫は非常に稀であり,診断に苦慮した.リンパ節腫脹をきたす疾患の鑑別として骨髄肉腫は考慮すべき疾患のひとつと考えられる.

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© 2016 日本小児血液・がん学会
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