日本小児血液・がん学会雑誌
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多職種医療者合同シンポジウム: 小児がんの子どもと家族の治療・検査・処置における意思決定プロセスを支える多職種連携
小児がんの子どもの治療に対するプレパレーション
―他職種との連携を取りながらのホスピタル・プレイ士の関わり―
後藤 真千子
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2016 年 53 巻 5 号 p. 413-418

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抄録

ホスピタル・プレイ士(以下HP士と記載)がプレパレーションをすることによって,恐怖心から処置や検査,治療を行うことが困難な患児に対し,処置や治療,検査がスムーズに行われることが可能となることがある.

まず,本人と保護者の話をよく聞き,児が処置/検査/治療の意味や必要性を理解しているか,何が不安なのか,親の思いはどうか,を確認する.その後,処置/検査/治療がどういうものかを患児の認知に合わせて説明し,必要があれば,事前に機械,機器を見たり,触れたり,遊んだりするなどして,児の不安を一つずつ取り除いて,児が大丈夫と思えるまで関わる.分離不安がある場合は,HP士と仲良くなることにより,処置/検査/治療にHP士が一緒に入って支えながら乗り切っている.処置/検査/治療が度重なる恐怖体験になり,トラウマになって,体に変調を来すようなときも,不安の原因を一つ一つ解きほぐしながら,患児と一緒に乗り越えるための対処戦略を考え,乗り切っていく.その際に,様々な段階において,各部署のスタッフと連携し,綿密に段取りを決めて,患児の恐怖を最小限にし,乗り越えるためのモチベーションを上げるように工夫している.そのような関わりが,効果的であった症例について,具体的な経過を報告し,HP士と他職種の連携によるプレパレーションの意義について考察したい.

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© 2016 日本小児血液・がん学会
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