日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
強皮症様皮膚硬化を認める難治性慢性GVHDに対し短波長紫外線照射が奏功した4症例
浜田 聡宮下 倫江山本 雄一宮本 二郎屋冝 孟大城 登喜子浜田 有為子喜友名 しのぶ新垣 真弓百名 伸之
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2016 年 53 巻 5 号 p. 453-458

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抄録

造血細胞移植後の晩期障害である皮膚硬化性慢性GVHDはQOLが著しく損なわれ,管理に難渋する合併症である.多くはステロイド抵抗性もしくはステロイド依存性慢性GVHDであり,2次治療を行うも必ずしも満足できるものではない.我々は2012年7月より2015年5月までに強皮症様皮膚硬化による多発性関節拘縮に対して短波長紫外線照射(Narrowband Ultraviolet B: NB-UV-B)を施行した4例において,その有効性を後方視的に検討した.

全例ともNIH重症度分類は皮膚スコア2以上であり,Performance Scale(PS)は70%以下であった.ステロイド投与例は3例(依存性1例,抵抗性2例)であり,2次治療としてイマチニブを併用するも副作用や効果不十分であったため照射を施行した.残り1例は再発高リスク白血病であったため免疫抑制剤減量目的にて照射を選択した.治療効果判定はNIH効果判定基準による関節可動域スケールを用いて評価した.照射治療期間は中央値718日(368–1039日)で照射回数は中央値69回(53–159回),累積照射量は中央値75 J/cm2(51–221 J/cm2)であった.全例において関節可動域が拡がり,PSにおいて治療開始前は中央値40%であり,治療開始後は中央値75%まで改善が得られた.欧米では強皮症様硬化性慢性GVHDに対する2次治療は体外循環光療法(Extracorporeal photopheresis: ECP)が主流の治療であり,現在,本邦にて治験が行われており有望な治療法として期待される.しかしながらECPはコストや施設アクセシビリティなど課題が多く,代替療法としてNB-UVB療法は2次治療として有効な選択肢になりうると考えられる.

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© 2016 日本小児血液・がん学会
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