日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
腫瘍随伴性天疱瘡症状を伴わずに閉塞性細気管支炎を合併したキャッスルマン病の1例
入江 慎二興梠 健作永田 裕子加納 恭子平井 克樹貞松 智貴岡本 真一郎右田 昌宏
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2016 年 53 巻 5 号 p. 464-468

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抄録

硝子血管型のキャッスルマン病は,腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus: PNP)を併発し,その経過で閉塞性細気管支炎をきたすことは知られているが,今回我々はPNPの症状を伴わないにも関わらず,キャッスルマン病に閉塞性細気管支炎を合併した症例を経験した.症例は15歳女性.前医で呼吸障害および腹部腫瘤を認め,当院を紹介受診した.開腹生検術の結果,腹部腫瘤はキャッスルマン病(硝子血管型)と診断した.腫瘍全摘出術を施行したが,受診時より認めていた呼吸障害は術後も改善されなかった.呼吸障害の原因は閉塞性細気管支炎と診断し,ステロイド投与,大量免疫グロブリン療法を行ったが,呼吸状態の改善なく,現在肺移植の待機登録を行っている.また,患者はキャッスルマン病診断時に皮膚や粘膜病変を認めなかったが,患者の血清からPNPに特徴的なプラキンファミリー蛋白に対する自己抗体が検出されたため,潜在的にPNPを伴っていることが示された.

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© 2016 日本小児血液・がん学会
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