日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
症例報告
Epstein-Barrウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症にリツキシマブが奏功したX連鎖リンパ増殖症候群1型の一例
廣木 遥岡野 翼山下 基足洗 美穂宮本 智史小林 千佳青木 由貴高木 正稔今井 耕輔金兼 弘和森尾 友宏
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 54 巻 1 号 p. 25-29

詳細
抄録

X連鎖リンパ増殖症候群(X-linked lymphoproliferative syndrome: XLP)はEpstein-Barrウイルス(Epstein-Barr virus: EBV)に対する免疫応答の欠陥を有する稀な原発性免疫不全症であり,SH2D1A変異による1型(XLP1)とXIAP変異による2型(XLP2)がある.XLP1の約60%の患者でEBV関連血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis: HLH)を発症し,エトポシドやシクロスポリンを含むHLH2004プロトコールで治療を行うが,しばしば致死的となる.通常のEBV-HLHはEBVがCD8+ T細胞にクローナルに感染しているが,XLP1などの原発性免疫不全症を基礎疾患とするEBV-HLHではEBVは主にB細胞に感染しており,抗CD20抗体であるリツキシマブ投与が奏効すると考えられる.今回重症EBV-HLHで発症したXLP1の3歳男児例に対してHLHに対する治療に加えてリツキシマブ投与を行ったところ,速やかに奏効したので,その経過を報告する.

著者関連情報
© 2017 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top