2017 年 54 巻 1 号 p. 25-29
X連鎖リンパ増殖症候群(X-linked lymphoproliferative syndrome: XLP)はEpstein-Barrウイルス(Epstein-Barr virus: EBV)に対する免疫応答の欠陥を有する稀な原発性免疫不全症であり,SH2D1A変異による1型(XLP1)とXIAP変異による2型(XLP2)がある.XLP1の約60%の患者でEBV関連血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis: HLH)を発症し,エトポシドやシクロスポリンを含むHLH2004プロトコールで治療を行うが,しばしば致死的となる.通常のEBV-HLHはEBVがCD8+ T細胞にクローナルに感染しているが,XLP1などの原発性免疫不全症を基礎疾患とするEBV-HLHではEBVは主にB細胞に感染しており,抗CD20抗体であるリツキシマブ投与が奏効すると考えられる.今回重症EBV-HLHで発症したXLP1の3歳男児例に対してHLHに対する治療に加えてリツキシマブ投与を行ったところ,速やかに奏効したので,その経過を報告する.