2017 年 54 巻 2 号 p. 157-160
ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は,ランゲルハンス細胞様細胞(LCH細胞)のモノクローナルな腫瘍性増殖をきたす疾患である.骨病変の頻度が最も高く,軟部組織単独病変は稀である.今回我々は,胸椎の骨融解病変,胸膜病変,および骨病変に連続しない後頚部の軟部組織病変を伴う多臓器型LCHの5歳女児例を経験した.本例は当初,後頚部皮下膿瘍および化膿性脊椎炎の疑いで抗菌薬が投与され,解熱し病変部位の腫脹が軽減消失したことから,結果的に化学療法の同意が得られず経過観察の方針となった.約9か月間で2回の再燃を観察し,いずれも抗菌薬投与のみで解熱し,局所症状も軽減消失した.最終的に多剤併用化学療法を導入したところ,速やかに寛解が得られ,4年間再発なく経過良好である.本例はLCHでは稀な軟部組織病変を伴うのみならず,抗菌薬による一時的効果が観察された点で,LCHの複雑な病態を考察する上で貴重と思われる.