日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
症例報告
分娩時に小脳出血をきたした重症型血友病Aの一例
浜田 亮堀 司吉川 靖山本 晃代寺田 光次郎山本 大足立 憲昭浅沼 秀臣小田 孝憲吉藤 和久堤 裕幸
著者情報
キーワード: 血友病, 保因者, 頭蓋内出血
ジャーナル フリー

2017 年 54 巻 2 号 p. 153-156

詳細
抄録

血友病は先天性血液凝固障害のなかでは最も頻度の高い疾患であるが,母体が血友病保因者の場合の分娩方法について明確な指針は定められていない.今回我々は経膣分娩時のストレスに起因すると考えられた頭蓋内出血をきたした症例を経験したので報告する.母親の実弟が重症型血友病Aであり,遺伝子診断でイントロン22の逆位を認めていた.祖母および母親は確定保因者であった.本児は胎児エコーで男児と判明しており器械分娩禁止の方針とした.正期産で経膣分娩で仮死なく出生し,出生直後は皮膚に出血症状はなく頭部エコーでも異常所見は認められなかった.生後19時間のエコー再検査で両側脳室の拡大認め,CTでは右小脳半球を中心に40×30 mmの血腫を認めた.第VIII因子製剤の投与により保存的治療を行い,血腫は拡大せずにその後自然消失した.現在2歳,神経学的異常を認めない.

著者関連情報
© 2017 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top