2017 年 54 巻 3 号 p. 194-200
原発性免疫不全症は免疫系の一つあるいは複数のコンポーネントの先天的欠陥によるヘテロな疾患群であり,個々の疾患も300種類以上存在する.原発性免疫不全症は当初は易感染性を示す疾患として同定されたが,免疫機構の解明とともに血液・悪性腫瘍,自己免疫疾患,アレルギー,自己炎症性疾患などとも関わることが知られてきた.原発性免疫不全症の一部には汎血球減少を呈するものがあり,その病態も抗体関連,細胞性免疫関連,免疫制御異常,骨髄不全,骨髄抑制など多岐にわたる.本稿では代表的疾患としてCTLA4ハプロ不全,LRBA欠損症,TPP2欠損症,ITK欠損症,CD27欠損症,CD70欠損症,XMEN病,IKAROS欠損症,GATA2欠損症,WHIM症候群を取り上げて解説する.本稿が血液・悪性腫瘍と原発性免疫不全症の相互理解に役立つことを期待する.