在宅で,終末期の苦痛緩和のためにミダゾラムによる持続静注を用いた思春期小児がん患児2例(18歳 類上皮肉腫,17歳 横紋筋肉腫)を経験した.2例とも,家族だけでなく本人からもinformed consentを取得した.Palliative Prognostic Indexを用いた推定予後は2例とも3週間未満で,鎮静の適応となった症状は,1例は終末期の身の置き所のなさ・不眠・不安,もう1例は難治性の口渇感と嘔気・嘔吐であった.ミダゾラムの開始量は,各々3 mg/hr,1.25 mg/hrで,呼吸抑制がないことを確認しながら,20~30%ずつベースの流量を増量し,1~2段階増量したところで苦痛緩和を得た.持続鎮静の期間は2週間未満で,鎮静に関連した致死的合併症は認めなかった.在宅でも,医療スタッフ間の密な協力体制があれば,ミダゾラムの持続静注による鎮静は安全に施行可能であると考えられた.