日本小児血液・がん学会雑誌
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パネルディスカッション1: 骨肉腫の治療
骨肉腫に対する手術治療
石井 猛
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2018 年 55 巻 5 号 p. 398-405

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抄録

1972年から2015年までに当院で治療を行った30歳以下の四肢通常型の骨肉腫患者は202例であった.72年から81年まで(56例)は放射線治療を併用し,患肢温存術を試行し,新しい放射線治療として速中性子線も導入された.患肢温存術は12例に試行されたが,多くの症例で感染,脚長差などの合併症が提示された.82年から86年まで(33例)は,速中性子線の線量を軽減し積極的に患肢温存術が行われた.患肢温存率は70%となり,局所再発率は9%であったが,合併症,特に感染は高率であった.膝周辺骨肉腫例の再建はcustom madeの腫瘍型の人工関節が使用されたが,長期経過例では破損緩みで再置換術が施行されていた.87年から2015年まで(113例)は放射線治療を併用せず,切断術16例,膝回転形成術16例,患肢温存術82例(73%)が行われた.患肢温存術の再建法としてはmodular typeの腫瘍型人工関節が用いられ,小児に対するexpandable prosthesis,血管柄付腓骨移植も導入された.患肢温存術の合併症は軽減されたが,prosthesisを用いた再建術の問題点は,依然として感染,破損,緩みなどの合併症であった.72年から81年,82年から86年,87年から2015年までのそれぞれの年代における5年(10年)生存率は,43%(40%),52%(49%),74%(63%)であった.

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© 2018 日本小児血液・がん学会
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