日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
腸重積で発症したバーキットリンパ腫の5例
―初期治療に対する考察
三藤 賢志米田 光宏上原 秀一郎中岡 達雄神山 雅史塚崎 雪乃西本 聡美中村 哲郎原 純一藤崎 弘之井上 健福島 裕子
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2019 年 56 巻 2 号 p. 168-171

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抄録

【目的】小児白血病・リンパ腫ガイドラインでは小児成熟B細胞性リンパ腫への初期治療には化学療法が推奨されている.一方,腸重積で発症したバーキットリンパ腫(以下,BL)は緊急的に外科療法を選択せざるをえないことも多い.今回,我々が経験した症例を後方視的に検討し,BLにおける外科療法の意義について考察した.

【方法】2001年から2015年までに我々が経験した腸重積により発症したBL5例を対象とし,初期治療として原発巣を切除した群(以下,切除群)としなかった群(以下,化学療法群)に分け,後方視的に検討した.

【結果】年齢中央値は13歳(2–21歳),Murphy分類はStage IIが2例,Stage IIIが2例,Stage IVが1例であった.切除群3例,化学療法群2例で,切除群のうち完全切除は2例であった.手術(生検)から化学療法開始までの期間は切除群48日(18–50日),化学療法群5日(1,9日),治療期間は切除群3か月(2–7か月),化学療法群6.5か月(6,7か月)であった.化学療法群の1例は腫瘍残存のため回盲部切除を要した.追跡期間は31か月(0–173か月),死亡した1例を除いて無再発生存中である.

【結論】切除群では化学療法開始までの期間が長くなるが,治療期間短縮というメリットもあった.外科療法の意義は基本的に急性腹症に対する緊急処置であるが,治療期間短縮につながる可能性もある.

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© 2019 日本小児血液・がん学会
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