日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
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原著
治療中の高校生がん患者の復学と学習支援:現状の検討
野口 磨依子中山 秀樹横山 良平白石 恵子坂田 友一宮 絵美上田 圭希岡村 純
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2020 年 57 巻 1 号 p. 15-19

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抄録

[背景]高校生がん患者の学習問題は深刻であり,彼らの将来に大きな影響を与えていると考えられる.そこで我々は高校生がん患者の長期入院後の復学と学習支援状況を明らかにするために調査を行った.[方法]2012年4月から2018年3月の期間に,当施設に3か月以上の入院を必要とした高校生がん患者を対象として,診療録から復学状況を調査した.また,他施設での学習支援状況を明らかにするためにアンケート調査を実施した.[結果]当施設の調査対象は,男性7例,女性4例,原疾患は血液疾患5例,固形腫瘍6例であった.治療は化学療法のみ4例,化学療法+手術±放射線治療4例,同種移植3例であった.在学中の入院期間は中央値6か月(範囲,3~18)であった.復学状況は中途退学2例,留年5例,留年なく復学3例,復学せず卒業が1例であった.当施設では2015年から進学塾からの学習支援教師派遣による高校生への学習支援を行っている.他施設へのアンケート調査では,院内学級の設置は1施設あるのみで,訪問指導を行っている施設は3施設であった.[考察]今回の調査で,高校生がん患者は中途退学や留年を余儀なくされる場合が多く,退院後の復学の困難さが示された.学習支援は十分ではなく,高校生がん患者の復学を支援するシステム構築が望まれる.

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© 2020 日本小児血液・がん学会
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