日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
MIBG集積陰性成分を主体としたカテコラミン非産生の腫瘍が再発したMYCN増幅Stage4神経芽腫の1例
八重樫 未来佐野 秀樹高橋 信久大原 喜裕小林 正悟田中 秀明清水 裕史橋本 優子望月 一弘細矢 光亮菊田 敦
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2020 年 57 巻 3 号 p. 300-303

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抄録

初発時2歳5か月の男児.123I- metaiodobenzylguanidine (MIBG) 集積陰性と陽性の腫瘍が混在して発症した左副腎原発の神経芽腫Stage4で,MYCN増幅を伴っていた.高リスク群プロトコールにて完全寛解となったが,治療終了1年2か月後(4歳5か月)に左顔面神経麻痺にて受診,左小脳橋角部,左眼窩骨,骨髄に再発を認めた.再発病変はMIBG集積陰性~弱陽性で,尿中カテコラミンの上昇はなく,骨髄転移細胞のTyrosine Hydroxylase染色は陰性で,MIBG集積陰性かつカテコラミン非産生の腫瘍成分を主体として再発したと判断した.近年,MIBG集積陰性初発神経芽腫は陽性神経芽腫よりMYCN増幅例が多く,予後良好との報告があるが,MIBG集積陰性の中でもカテコラミン非産生神経芽腫は,より未分化で悪性度の高い腫瘍成分を有している可能性が高く,早期の再発に注意が必要である.

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© 2020 日本小児血液・がん学会
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