日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
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原著
本邦における小児白血病・リンパ腫診療時の中心静脈カテーテルの使用・管理法の現状
佐野 弘純福島 啓太郎矢野 道広嘉数 真理子篠田 邦大加藤 陽子新小田 雄一森 尚子石田 裕二斎藤 雄弥豊田 秀実足立 壯一大曽根 眞也
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2022 年 59 巻 3 号 p. 275-280

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抄録

【背景】小児血液・腫瘍性疾患の長期にわたる治療に際し用いられる中心静脈カテーテル(Central Venous Catheter; CVC)について,全国的にどういった種類のCVCが使用され,どのように管理されているかについての情報は乏しい.そこで日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)参加施設でのCVCの使用・管理状況について調査した.

【方法】JPLSG参加155施設に2016年2月から同年7月まで,CVCの使用・管理状況について,SurveyMonkey®を用いたWebアンケート調査を行った.

【結果】98施設(63%)から回答を得た.以下,「%」は回答した施設数を母数とした回答比率を指すものとする.白血病・リンパ腫の患児に対しては97%の施設が基本的に全例にCVCを使用していると答えた.CVCのタイプ別にみると,長期留置型は86%の,短期留置型は16%の,ポートは7%の,末梢挿入型は44%の施設で使用されていた.皮膚刺入部の管理法,アクセスポートを含めた輸液ラインの管理法,カテーテル関連血流感染症が疑われた際の対応については施設ごとで差を認めた.

【考察】施設の規模や診療体制の違いからCVCの使用や管理の状況は施設ごとに大きく異なっていた.今後はCVCを安全に使用し,感染を予防するための管理指針が必要と考えられた.

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© 2022 日本小児血液・がん学会
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