2022 年 59 巻 3 号 p. 270-274
【背景】小児がんの治療成績は向上した.一方,小児がん経験者の晩期合併症が明らかになり,その医学的管理・介入の必要性が認識されてきた.我々は,小児がん経験者に対して人間ドックを医学的管理に活用する際の課題についての意識調査を行ったので,報告する.【方法】対象:1976年~2018年3月までに筑波大学附属病院でがん治療を受けた,診断時15歳以下の患者.調査時年齢16歳以上,診断後5年を経過しているものを対象とした.質問紙調査は調査票を患者自宅へ郵送し実施した.【結果】対象者249名に質問票を送付した.61名(24%)より返送があり,有効回答54名(22%)の解析を行った.診断時年齢中央値は8.7歳,現在年齢中央値21.5歳,診断後年数中央値は13.3年だった.晩期合併症については40名(74%)が「よく知らない」と返答した.人間ドックを受診したいか?の問いに対し,49名(91%)が「少しそう思う」「そう思う」「とてもそう思う」と回答した.人間ドックを受けるなら?の問いに対し,「無料なら受けたい」25名(46%),「自分でお金を払っても受けたい」27名(50%)であった.【考察】小児がん経験者は晩期合併症に対する知識は乏しいものの,ほとんどが自身の健康管理のための人間ドックの受診を希望した.一方,金銭的負担に障壁を感じている者が半数で,実際の受診を妨げている可能性があると考えられた.