2023 年 60 巻 1 号 p. 42-45
症例は8歳女児.4歳時にB前駆細胞性急性リンパ性白血病(BCP-ALL)と診断された.初期ステロイド反応性は良好で,寛解導入療法後に第1寛解が得られ,寛解を維持し2年6か月で治療を終了した.初発から4年6か月,治療終了から2年後に骨髄再発し,白血病関連融合遺伝子検査によりTCF3-ZNF384陽性が判明した.第2寛解期にメルファラン180 mg/m2および全身放射線照射12 Gyによる前処置を用いて,HLA8/8アリル一致の父親から骨髄移植を施行した.移植後17日で生着し,皮膚の急性移植片対宿主病以外に急性合併症を認めず,移植後1年現在無病生存している.再発TCF3-ZNF384陽性BCP-ALLの予後は不良とされ,造血細胞移植により良好な結果が得られる可能性がある.本症例では骨髄破壊的前処置を用いて良好な結果が得られているが,適切な前処置強度については今後の検討課題である.