日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
化学療法終了後に汎発性帯状疱疹によるOgilvie症候群(急性偽性結腸閉塞症)と可逆性後頭葉白質脳症を発症した急性骨髄性白血病の13歳女児例
小柴 光央羽賀 洋一有働 みどり植田 有紀子松岡 正樹小梛地 洋島田 脩平高橋 浩之
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2023 年 60 巻 1 号 p. 46-50

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抄録

Ogilvie症候群は,機械性閉塞機転がなく主に結腸が拡張する急性に進行する疾患で,原因は外傷,感染症などがあげられる.本症例は13歳の女児で,急性骨髄性白血病の全治療を完遂して2か月後に頑固な便秘と激しい腹痛を呈した.著明な腸閉塞と意識障害がみられて入院し,直後に汎発性帯状疱疹が顕在化した.化学療法終了から2か月後の免疫抑制中に,水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化に伴う汎発性帯状疱疹とOgilvie症候群と診断した.Ogilvie症候群にはイレウス管による減圧と腸管蠕動の改善目的にネオスチグミン皮下注を行い,汎発性帯状疱疹にはアシクロビル,免疫グロブリンによる治療を行った.意識障害の原因は入院時MRIで後頭葉にT2強調画像で高信号域を認めたが,治療後のフォローで高信号域が速やかに改善したことから,可逆性後頭葉白質脳症の併発と診断した.白血病治療終了後も細胞性免疫の回復には半年から1年要するため,免疫抑制状態には注意を要する.

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© 2023 日本小児血液・がん学会
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