日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
多臓器に浸潤した小児孤発性腹腔内デスモイド腫瘍の1手術例
根本 悠里矢本 真也野村 明芳三宅 啓福本 弘二
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2026 年 63 巻 1 号 p. 45-50

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抄録

腹腔内デスモイド腫瘍の多くは,家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)と関連していることが知られている.今回,FAPの所見を伴わない腹腔内デスモイド腫瘍の一例を経験した.症例は12歳の女児,主訴は腹痛,近医での腹部超音波検査で径14 cmの腹腔内腫瘤を指摘され当科紹介となった.画像所見より大網血腫もしくは平滑筋腫を疑い,腹痛が軽快しないため手術を施行した.腫瘍は周囲臓器(胃,上行結腸-下行結腸,膵前面)に浸潤しており,腫瘍全摘のために幽門側胃切除および上行結腸から下行結腸の大腸切除,膵部分切除,胃空腸吻合,結腸-結腸吻合を施行した.術後病理診断でデスモイド腫瘍の診断となった.下部消化管内視鏡検査ではポリープを含めた異常所見は認めず,FAPを疑う家族歴も認めなかった.術後2年間Celecoxibを内服し,5年間無再発で経過している.FAPの所見を伴わない腹腔内デスモイド腫瘍の治療方針は確立されていない.再発のリスクの高い腫瘍であり,患者ごとの治療検討と長期フォローアップが必要である.

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