2026 年 63 巻 2 号 p. 97-101
筆者は2006年に当院初となるMSWとして入職したが,それまではPSWとして精神病院にて精神疾患患者の支援を行っていた.
差別偏見の歴史の中で長期入院となっていた患者への退院支援・生活支援・就労支援の実践において,当時尊敬する先輩方から教わり大切にしていた価値が『長期に渡って病気と付き合っていく患者に伴走し,揺らぐ力を持って継続的に支援すること』・・・まさに昨今のがん患者支援・長期フォローアップの実践でも尊重されるべき視点であった.
しかし入職当時,そんな関わりは「抱え込み」と捉えられ急性期病院には馴染まないものだった.なのでまずは退院後の患者の様子を病棟に報告したり,地域の訪問看護ステーションに病棟カンファレンスや院内会議に定期的に参加してもらい,病院と地域の垣根を下げて気軽に切れ目なく連携し,患者を“生活者”と捉えた支援に注力してきた.
そして2015年には医療用SNSメディカルケアステーションを全国の急性期病院に先駆けて導入し,院内外の多職種がよりシームレスに質の高い情報連携ができるプラットフォームを整備し,患者家族にも気軽に使ってもらうことで寄り添いの支援を行ってきた.
また,患者向けのリーフレットも社会資源・在宅医療・就労支援・学習支援・妊孕性温存などテーマごとに作成し,患者家族の今と将来をともに考えるための対話のツールとして活用してきた.
例え同じようながんを患い同じような合併症があっても,その患者が“生活者”として生きていく過程は多様であり,そこに寄り添い,共に悩み,患者自身で人生を切り開いていけるよう多職種で取り組んできた実践についてご報告したい.