2026 年 63 巻 3 号 p. 267-271
症例は陰茎肥大・恥毛の発育を認めた1歳10ヶ月の男児.血液検査と腹部造影CTから,左副腎原発のアンドロゲン産生腫瘍と診断し,腹腔鏡下左副腎腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的所見では小児例であり,Wienekeの基準に基づいて良性の副腎皮質腫瘍と診断されたが,免疫組織化学染色にてp53陽性標識率が90%以上と高値で非定型的であった.術後補助療法は行わず,慎重な経過観察を行っている.術後にテストステロン値は測定感度未満まで低下し,術後20ヶ月の画像検査でも再発所見は認めていない.遺伝学的検査を行ったところ,生殖細胞系列のTP53に病的バリアント(c.733G>A,p.Gly245Ser)をヘテロ接合性に同定し,Li-Fraumeni症候群と診断した.小児副腎皮質腫瘍では,他臓器より良悪性の診断に難渋する.非定型例では,悪性を考慮した経過フォロー及び遺伝学的検査を検討する必要がある.