2021 年 12 巻 10 号 p. 1264-1268
はじめに:抗リン脂質抗体症候群(APS)を合併した腰椎破裂骨折に対して後方固定術を施行した1例を経験したので報告する.
症例:18歳,男性.12歳時より他院でAPSと診断され加療されていた.2019年12月に交通事故により受傷.X線でL1に椎体後壁の突出を認め,CTで脊柱管内骨片占拠率は約40%であった.ASIA分類Grade E,TL AOSIS Type A4のL1破裂骨折,5点であった.入院後,抗リン脂質抗体(aPL)と血栓症の有無を精査し,ヘパリン置換後にT11~L3まで後方固定術を施行した.術翌日から抗凝固療法を再開,術後2日目から歩行開始し,術後血腫やVTE等の合併症なく術後2週で退院した.
結語:術前に原因不明な凝固能異常がある場合はAPSの合併を考慮し,aPL精査と周術期の綿密な抗凝固療法が必要である.