2021 年 12 巻 11 号 p. 1311-1318
はじめに:早期発症側弯症(EOS)では,進行する脊柱変形に対して幼少期から成長温存手術を行い,比較的早期に最終固定に至ることが多いが,最終固定の経過を含めた長期の成長過程については不明の点も多い.本研究の目的は,Growing-rod法を施行したEOS患者の成長過程を,初回設置から最終固定後2年までの期間で調査することである.
対象と方法:Growing-rod法を施行した10症例のEOSを対象に,初回設置時から最終固定後2年経過時まで,主弯曲Cobb角,脊椎高,身長,体重などを計測し,成長過程や手術関連合併症を評価した.
結果:主弯曲Cobb角は平均すると初回設置で39°改善,成長温存手術期間に4°進行,最終固定で16°改善,最終固定後2年で3°進行した.脊椎高は,初回設置時と成長温存手術期間に大きく増加し,最終固定や最終固定後2年間での変化は少なかった.手術関連合併症を40%に認めた.
結語:EOSに対する成長温存手術において,全体の治療過程において初回設置が主弯曲Cobb角の矯正,脊椎高の獲得に最も寄与が大きいことが示された.