2021 年 12 巻 5 号 p. 723-728
はじめに:本研究の目的は当院で行った成人脊柱変形(ASD)手術後のmechanical complications(MCs)の予測因子を調査することである.
対象と方法:当院で行ったASD術後2年以上経過した51例を対象とした.MCsはproximal junctional kyphosis(PJK),ロッド折損,インプラント関連合併症とした.患者因子,手術因子,単純X線像パラメータに加えglobal alignment and proportion(GAP)スコアを調査した.多変量解析はCox回帰分析を用いた.
結果:MCsは59%に認め31%が再手術を要した.PJKは33%(再手術31%),ロッド折損は31%(再手術69%)に認めた.単変量解析では3 column osteotomy,術前sagittal vertical axis,術後GAPスコアが予測因子となり,Cox回帰分析ではGAPスコアが独立した予測因子であった.GAPスコア8点以上が再手術のカットオフ値であった.
結語:良好な矢状面アライメント獲得がMCsを低減させるために重要である.