2021 年 12 巻 9 号 p. 1174-1180
はじめに:ロコモティブシンドローム(ロコモ)の評価法であるロコモ度テストは移動能力とHRQOLの指標である.脊柱骨盤矢状面アライメント異常は健康関連QOL(HRQOL)の低下を引き起こす.骨粗鬆症患者の脊柱骨盤矢状面アライメントがロコモに及ぼす影響を明らかにすることを本研究の目的とした.
対象と方法:対象は当院骨粗鬆症外来に来院し,ロコモ度テストと立位全脊柱側面X線撮影を行った原発性骨粗鬆症患者198名とした.脊柱骨盤矢状面アライメントのTK,TLK,LL,SS,PT,PI,SVA,PI-LLを計測し,ロコモに関連する脊柱骨盤矢状面アライメントの因子を検討した.
結果:ロコモ度とTLK,PT,SVA,PI-LLが有意な正の相関,LL,SSが有意な負の相関を示した.目的変数をロコモ度としたステップワイズ法による多重ロジスティック回帰分析の結果,LLと年齢が関連する因子であった.
結語:骨粗鬆症患者ではロコモが多く発生し,年齢が増加,脊柱骨盤矢状面アライメントが悪化していた.ロコモに関連する脊柱骨盤矢状面アライメントの因子はLLであった.